『令和』からお香を思う

世間は新元号の話題で持ちきりですね。
発表から二日経ち
私の中で「令和」という響きが馴染んできました

「令和」の出典を今一度おさらいすると

【于時初春令月氣淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香】
「時に 初春の令月にして 
気淑(よ)く風和(やわら)ぎ 
梅は鏡前の粉(こ)を披き(ひらき) 
蘭は珮後(はいご)の香を薫す(かおらす)」

お香を扱う私としては
日本の古典である「万葉集」からの出典ということがうれしいのと、
その万葉集から、この一文が選ばれたということがうれしいです。

なぜって「香」が「薫」るんですよ!!

うれしいですね。
この一文は
「梅花の歌」の序文からということで
なんとも2000年の歴史を持つ日本ならではで。

というのも
今でこそ日本の花=桜というイメージが強いですが
桜の花見の風習が庶民に広まったのは江戸時代と言われており、
万葉集の時代には
花見といえば「梅」だったと言われています。

梅



お香には
「六種の薫物(むくさのたきもの)」
というお香があります。

これは文字そのままに
「6種類のお香」ということなのですが、

平安時代から宮中では
基本的に季節に応じて薫く
6種類のお香が決められていました。
その6種類は

春=梅花
夏=荷葉(はす)
秋=菊花
冬=落葉
冬=侍従
四季=黒方

の6つ。

画像の説明



春をかざる花として
「梅」が選ばれているのです。

現在の新暦で考えると、私には
梅の時期はまだ寒いので、
梅を春の花としてとらえられないのですが

梅の花が咲く2月は
立春を迎え
暦の上では春。

梅は別名を「春告草」とも言うそうですから
日本人にとって
梅は待ちに待った春を感じる
大切な花であったのだなと思います。

その大切な花をテーマにした
「梅花の歌」の項の序文からの一文。
私としては、なんだか嬉しいのです。

そして安部首相の談話では
「令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で
文化が生まれ育つという意味が込められている」
との話がありました。

お香という文化を広めたくて
香司となった私ですから、
「文化」への思いが込められて
この「令和」という元号になったということは
とても感慨深いのです。

「令和」まであともう少し。
新しい時代を心待ちにしています。